名馬の産地で豊かな経験をつんだ、馬専門の獣医師が皆様のご質問にお答えします。
骨質が弱いのは遺伝、品種、後天的には飼料の質、微量元素のバランスによります。体型的にどこかに負担がかかって、 次第にその部分の骨や靭帯がこわれることもあります。ケアとして考えられるほとんどは、添加飼料による治療ですが、 私たち獣医師は骨強化の注射も用意しています。馬は生涯、乗馬なら乗馬の使命を果たさせてやったほうが、幸せなようです。
蹄葉炎を理解するためには、馬の蹄の構造を知る必要があるのですが、 要するに、蹄葉炎とは蹄における血液の循環が悪くなることで、蹄の一部が壊死(えし)してしまい、 蹄から蹄の骨がはがれて分離することを言います。蹄葉炎は悪化すると蹄の骨は上からの体重によって、 蹄の底さえも突き抜けようとするまでに至ります。そのため非常に痛みを伴う病気です。
原因には様々なものがありますが、多くは一方の脚(たとえば左脚)のケガ(骨折など)をかばうことで、 他方の脚(たとえば右脚)に負担がかかり、その脚が蹄葉炎になる場合があります。自分の足を馬に踏まれた経験はありますか? 馬に足を踏まれるとものすごく痛いです。それだけあの馬の細い脚には体重がかかっているのです。 1つでも支えられない脚があると、他の脚に非常に負担となります。他には濃厚飼料の過剰摂取によるもの(馬の盗み食いなど)、 傷口から細菌が感染して起こることもあります。
蹄葉炎も早期であれば治療は可能であり、投薬による治療などで治ることもあります。 しかし、蹄葉炎の進行がはやかったり、悪化すると改善の余地がなく、 馬自身のことを考えると安楽死という処置をとらざるを得ない場合があります。 馬は普段はずっと立って生活する動物であり、長い間横になってばかりいると体重は500キロあるので床ずれを起こしやすく、 やがては生体全体の機能不全や壊死が起こります。そのため悪化した場合は安楽死という形をとらざるを得ない恐ろしい病気です。
最近では、サンデーサイレンス、マックスビューティーや少し前には、テンポイント、トウショウボーイなどがこの病気を患い、 結果として死を遂げていますが、獣医学の進歩により現在さまざまな研究がなされており、 蹄葉炎の治療というのも進歩してきているので、治って、助かることもあります。
今後は、蹄葉炎にならないようにすることがやはり一番であると思うので、 馬が脚などを怪我をした場合に対しての注意・処置が大切であると思います。
クラブフィート(フット)は一般的に蹄の蹄尖壁角度が60度を越えた症状が見られる肢のことを言います。 通常よりも蹄が小さく、角度が急勾配です。クラブフィートは遺伝や打撲、または負重運動が減少した結果、 上記のように肢が変形して成長してしまいます。また、詳しくはわかりませんが、何らかの栄養的な因子もあると考えられています。 肢が側面から見て不恰好なとき、蹄の本来の動きが妨げられている可能性があります。 クラブフィートは通常、削蹄や靴をはかすことで処置しますが十分ではありません。
普通の馬と同じように考えて良いと思います。 化骨の完了=成長期間と考えると、通常、 馬の化骨は4歳頃までに完了しますので4歳頃まで成長すると考えられるのではないでしょうか。 ところで、ファラベラについては、体高が76cm以下でないと認められないそうですので、 『ファラベラの成長期間』として考えると難しいですね。