×

CATEGORY

HOME»  NOMADOC»  馬の病気»  新生子溶血性黄疸

新生子溶血性黄疸

馬の病気~新生子溶血性黄疸

新生子溶血性黄疸とは1週齢未満の子馬に発生する、血液の病気の一種です。生まれたときは子馬は正常です。
異常は、子馬が母馬の初乳を最初に飲み、吸収されたときから始まります。
母馬から初乳を介してうけとる抗体によって子馬の赤血球が破壊されてしまい、
黄疸というかたちで症状に現れるのです。
外敵から身を守る助けとなるはずの
“抗体”が、子馬に病気をおこす原因となってしまう。今回は、そんな病気について、みてみましょう。

症状

  貧血と黄疸。この2つが主要な症状です。このことによって子馬は衰弱し、横になることが多くなったり、不活発になっ たりします。 赤血球数が減ってしまうので、子馬の呼吸は速くなり、心拍数も増え、ひどくなると脳や身体の組織に十分な 酸素を供給できなくなるので、虚脱状態に陥ります。症状が現れるまでの時間は、子馬がどれだけの初乳を吸収し たかと、母馬の抗体がどのくらい攻撃的なのかによって様々ですが、一般的には生後12時間から4日の間だといわれ ています。

治療

  早いうちに発見できれば、この病気は治療できます。もしも、子馬が生まれてから24時間以内に気づいたら、それ以 上母馬の初乳を飲ませないようにします(口カゴをつけるなど)。そして母馬は2~4時間ごとに搾乳し、子馬が24~3 6時間齢になるまではその乳は捨てましょう。その間、子馬には代用乳を与えます。母馬が初乳を作らなくなれば、子 馬の赤血球はダメージを受けることはなくなるので、自由にお母さんのお乳を飲ませてあげましょう。 子馬の貧血状態をチェックするのも忘れずに。 子馬がひどい貧血に陥っていたら、輸血が必要となります。この場合の問題点は、適切な供血馬をみつけるのが 難しいことです(海外の大学病院などでは、供血馬が用意されているようです)。一時的な治療として、人工的な血液製 剤を用いることもできます。

なぜ、子馬の赤血球を攻撃してしまうのか?

   馬にも、ヒトと同じように異なる血液型があります。母馬は自分がもたない赤血球の因子にさらされると、体内でそれ に対する抗体を作ります。輸血、出産などの過程で“外来の”赤血球因子にさらされることになります。 もし、子馬の赤血球型と母馬の赤血球型が異なると、子馬の赤血球は母馬の抗体に攻撃されることになります。馬 は、ヒトと違って胎盤を通して抗体を受け渡すことができません。それゆえ、子馬が胎内にいる間は、何の問題もおこり ません。初乳を通じて抗体を受け取ってはじめて、子馬の赤血球は破壊されるのです。そして、 1度溶血性貧血の子 馬を産んだ牝馬は、繰り返してこの病気の子馬を産む可能性があるということになるのです。

最良の治療法

 過去に新生子溶血性黄疸の子馬を出産した牝馬、輸血を受けたことのある牝馬では、予防することが重要です。

1つめは、 牝馬が抗体を作った因子をもたない種馬を選んで交配させることです。
2つめは、 子馬に母馬の初乳を与えないことです。

その場合、子馬は初乳以外の抗体の供給源が必要なので、他の 馬の初乳を与えたり、免疫グロブリン製剤を投与したりします。

初乳の大切さ

   初乳はどうして大切なのでしょう?先にも述べたとおり、馬は胎盤を通じて子供に抗体を受け渡すことができません。 出産後、初乳を与えることによってはじめて、子馬に抗体を渡すことができます。 生物体内に侵入するウイルスなどの様々な病原体をやっつけるもの、それが抗体です。つまり、自分の健康を守るた めにはかかせないものなのです。
   胎盤を通じて抗体が渡されないので、初乳を飲み損なった子馬たちには、身体を守る機構がありません。体内に侵 入した病原体にやられっぱなしの状態になります。だから、生まれてすぐの子馬には、きちんと初乳を飲ませてあげな ければならないのです。

私たちの治療法

   このような考え方から、私たちは黄疸をおこす危険性のある子馬にも、十分な観察を行いながら母馬の初乳を飲ませ るようにしています。出産から立会い、きちんと治療を行いますので、黄疸の子馬を出産する可能性のある牝馬をお持 ちの方は、どうぞご相談ください。

SEARCH

CONTENTS

CATEGORY